パパパパパンチドランカー

合同会社ABOUT A GIRLlサトウのつれづれブログ。不定期更新です

2016年06月

世界の全てはメタファーだ。村上春樹的青春小説〜ブックレビュー「海辺のカフカ」

こんにちは、ABOUT A GIRLのサトウです。
今週もブックレビューです〜。


私は高校生の時に初めて村上春樹を読んで以来、ずっと村上春樹好きです。
全作品を読んだわけではないですが(短編は全部読み切れていません)、
いくつかかなり好きな作品もありますし、一応「村上春樹好き」と
言えるのではと自負しています。村上主義者ってやつですね。

さて、『海辺のカフカ』です。
正直言って、完成度で言えば他の村上春樹作品の方が上回っていると思います。
しかし、この作品は何度も読ませる不思議な力を持っていると思います。


主人公「田村カフカ」は15歳の誕生日、東京都中野区にある家を出て
「世界で一番タフな15歳」になることを誓います。
彼は吸い寄せられるように香川県に向かい、そこにある私立図書館で
不思議な出会いをします。
ほぼ同時期、東京都中野区に住む初老の男性「ナカタさん」は、
依頼された「猫探し」を行っている最中に、これまた奇妙な経験をします。


物語はカフカ少年と、ナカタさんパートを交互に描きながら進みますが、
物語中盤から不思議な要素――不思議としか表現の仕様がないのですが――が
どんどん出始めます。過去と未来と現在、夢と現実、比喩と暗喩がすべて曖昧になり、
どの言葉が誰の言葉かわからなくなっていくのです。
それがこの本の魅力であり、同時に「わかりにくい」「意味がわからない」
とも言われる理由でもあると思います。
物語を紐解くキーワードは作中にたくさん提示され、
それに添えばある程度分かるようになるのですが
明確な答えはなく、読者の想像にまかせる方針のようです。
また、「結末がないのはとても自然なこと」と作中に登場人物に
言わせているように、作者は結末をあまり重視していないようです。

もちろん上述の話は面白くないわけではないのですが、
(むしろ普通に面白いのですが)
もしそれだけならば、私は感想を書くほど
この本を気に入っていなかったかもしれません。
謎が多く、「なぜそうなったのか」という明確な説明もない
ままになっている要素がとても多いですし。


しかし、この本には私をたまらなく惹きつける存在がいます。
それが、物語中盤からナカタさんと行動をともにするホシノくんです。

職業はトラック運転手、髪型はポニーテール、レイバンのサングラスをして
アロハシャツを着ている喫煙者。中日ドラゴンズの熱狂的なファン。
元自衛官で映画はアクションかカンフーしか見ない。

今までの村上春樹作品にはあまり出てこない個性のキャラクターですが、
彼は後半、非常に重要な役割を作者に任されることになります。
何故彼なのか?という点は私にもわかりません。
わかりませんが、私の「海辺のカフカ」内での好きなシーンの多くは
このホシノくんが登場するシーンなのです。


・喫茶店で「大公トリオ」を聞きながら思索するシーン
・大島さんとの会話のシーン


特に好きなのが上記の2つです。
どちらも、ホシノくんの「蒙が啓けた」感じがしてとてもいいですね。
作中の比喩を使うと、「そこにあるすべての目盛りが一段階あがった」
となるでしょうか。
ホシノくんの成長(と一言で言ってしまっていいのかわかりませんが)を
見ると、彼が作者に重要な任務を任せられたのもなんだか分かる気がしますし、
実際ホシノくんの活躍なくして後半の話は進みません。

最初はナカタさんのことをもう一人の主人公と考えていましたが、
のちのち「もう一人の主人公はホシノくんでは?」と思うようになりました。
それくらホシノくんは大きい存在です。


まとめると、この作品は田村少年とホシノ青年の成長物語と言えるでしょうか。
成長物語というと、汗臭い青春系を連想してしまいますが、
この作品は村上春樹なりの青春小説なのだと思います。
ただ、それに下記の要素――「悪や暴力との対立構造」を加えているので
多少ややこしくなってはいると思います。



この本は村上春樹の長編『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』や
『ねじまき鳥クロニクル』と世界観を同じくしています。
すなわち、「戦争などの巨大な暴力はどこからくるのか」という考察を
作者が行いながら作品を描いている、ということです。
『海辺のカフカ』の世界をもっと知りたいと思うなら、是非これらの
作品を読むことをオススメいたします。
特に『世界の終わりと〜』は、姉妹編と言ってもいいかもしれません。


前回よりちょっと長くなってしまいました。
村上春樹は好き嫌いが分かれる作家ですから、村上春樹入門編を考察する、
ということもいずれやりたいと思います。


アラサーですが恐懼して今川家で天下取り〜戦国無双4Empires01〜(仮)

こんにちは、ABOUT A GIRLサトウです。
私は歴史が好きな関係上、歴史ゲームもプレイするのですが
その中でもお気に入りなのが「戦国無双シリーズ」です。

無双シリーズといえば、群がる敵をバッサバッサと切り倒す
爽快感がウリのゲームなわけですが、そんな中
「戦国無双」にも「三國無双」にも、「Empires(エンパイアーズ)」と
名付けられた作品があるのをご存知でしょうか。
「三國無双3 Empires」とか、「戦国無双2 Empires」とかですね。


で、このEmpiresというのは何なのかといいますと、
「普通の無双シリーズに、内政要素を加え、天下統一する過程を
ゲームとして楽しむ…というものなのです。

普通の戦国無双ですと、「第1話 三方ヶ原の戦い」みたいに
どこで誰と戦うかは決まっているのですが、
Empiresではどこの国にどう攻め入ってもOK。
善政を行って民に慕われるか?悪政を行って嫌われるか?
それも自由なのです。 

IMG_0908

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このように画面は大きく「軍略」と「政略」に別れます。

家臣の意見を聞いて国や軍を富ませ…
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近隣の国に攻め入って天下統一を目指す!
IMG_0911



 そんな戦国無双Empiresシリーズの最新作が、
戦国無双4Empiresです。



戦国無双4-2まで出てきたすべてのキャラクターと
すべてのアクションを兼ね備えた本作、このブログで
 プレイ日記をつけてみようと思います。

・主人公となる大名:今川家
・シナリオ:川中島の戦い(1553年開始)


今川家って誰得だよ!という声あると思います。
(戦国無双シリーズに登場する今川義元は、とてもギャグ色の強いキャラで
 あんまり凄い感じがしないのです。もちろん史実の今川義元公は
 凄い方だったと思うのですが…)
しかし私は今川家プレイがしたい…!

だってほら!もう寿桂尼も作ったんですよほら!
IMG_0912
※1:このゲーム、というか戦国無双4シリーズでは、自分の好きな新武将を
   作ることも出来る。
※2:寿桂尼(じゅけいに)→今川義元らの母で今川氏親の妻。
   氏親、氏輝、義元、氏真と四代にわたって今川家の政務を後見し
  「女戦国大名」と呼ばれた人物。

いつかブックレビューしますが、私が寿桂尼を題材にした小説を
大好きなので、今回は今川家プレイとしてみました。

史実の今川義元公は惜しくも桶狭間の戦いで敗れてしまいましたが、
私のプレイではどうなるのか!?
そして戦国無双シリーズにおいてはあまり強くない今川義元に、
乱世を渡っていく力はあるのか…?

乞うご期待です! 

※追記※
こちらのソフト、私はPS3の環境しか無いのでPS3でプレイしており
画像もテレビ直撮り…(笑)なのですが、
PS4やPS Vitaでも発売されております。

「このゲームに興味を持ったから僕も私もプレイ日記つけてみたい!」
という方は是非購入を検討されてみてはいかがでしょうか。
PS4やVitaですと、スクリーンショット撮れますからね〜

 

人間集団は人間集団だからこそ愛おしい?〜ブックレビュー「新選組血風録」〜

こんにちは、ABOUT A GIRLのサトウです!
お約束通り、ブックレビューをしましたので記事を更新。
記念すべき最初の書評は…

『新撰組血風録』 司馬遼太郎

「最初が短編集かよ」
「司馬遼太郎で幕末ならまず『燃えよ剣』だろ」
というようなご意見、皆さんあると思います。
しかし私が今まで読んだ司馬作品の中で、一番好きというか
印象に残っている作品がこれなんです。
ある意味、世間的に非常に評価の高い『燃えよ剣』よりも好きです。

時は幕末。治安の悪くなる一方の京都を警護し、
幕府に仇なす浪士たちを取り締まるため結成された新撰組(新選組)。
しかし新撰組の中では、権力争いと初めとした不思議な人間関係――
利用、粛清、恋といったドロドロがあふれていた…。

『燃えよ剣』が、土方歳三という戦いの鬼を主人公とし
その疾走する姿を描いているなら、こちらは人間集団・新撰組の
さまざまな表情を切り取って物語として仕上げているという感じです。
その中には悲しさや切なさ、人の業を感じさせるものもあります。
そういった部分が私の心を惹きつけているのかもしれません。

なかでも私が好きなのは『虎徹』『槍は宝蔵院流』
『胡沙笛を吹く武士』『三条磧乱刃』『沖田総司の恋』『菊一文字』です。

『槍は宝蔵院流』は隊内での派閥・権力争いを、
『胡沙笛を吹く武士』は新選組として生きていくことの難しさと悲しさを、
『三条磧乱刃』は新選組幹部たちの出自と奇妙な友情を、
『沖田総司の恋』は沖田総司という青年の繊細な恋を、それぞれ描いています。

白眉なのが『虎徹』と『菊一文字』。
どちらも刀を題材とした短編ですが、『虎徹』は近藤勇の佩刀・長曽根虎徹に
まつわるエピソードを近藤勇という人間の価値観と絡め、
あぶらの乗り切った文章で書いています。

『菊一文字』は歴史の有象無象の中に消えていった沖田総司と新選組の
儚さと永遠性、総司青年の願いについて。
この短編が物語全体では最終話となっていますが、
全体を締めるに相応しいと思います。

難点もあります。話が史実順ではありませんので、
新選組にある程度詳しくないと混乱してしまう可能性あり。
司馬遼太郎は国民的作家と言われる一方、好みの分かれる作家でもあると思います。

独特の文章やいわゆる「司馬史観」を嫌う方もいます。
しかし新撰組を描いた短編集の中でも(たぶん)
出色の出来だと思いますし、新選組ファンの方は読んで損はないと思います。


しかしこの集団にあっては、別の道徳法律が支配している。

主膳の生き恥は、士道悖反である。士道とは、男道のことだ。

漢(おとこ)とはかくあるべきものだという勁烈な美意識である。

近藤、土方は、本来烏合の衆である新選組の支配倫理をここに置き、

これをもって隊法の最高のものとしてきた。

――諸事、士道ニ背ク間敷事。


(『海仙寺党異聞』より)

ABOUT A GIRLいちの歴史好きの歴史小説レビュー第一弾、
いかがでしたでしょうか?
社長が「アフィリエイトで収入を得て山を買いたい、俺は山を資産とする」
と豪語しておりますので、リンクも貼っておきますね~。


次はなんのレビューをしようかワクワクしているサトウでした。

WELCOME TO MY DOGHOUSE


はじめましてこんにちは、合同会社ABOUT A GIRL/アシスタントライターのサトウです。
この度、このブログを担当することになりました。
まだまだデザインなど暫定的な段階ですが、
何卒よろしくお願いいたします。

初の会社用ブログ、ということで結構緊張しているのですが…
思えばこのブログも、先月、社長に声をかけられたところから始まりました。

社長「サトウさん、本のレビューとかしない?」
私 「いいですけど、なにゆえ突然?」
社「記事にAmazonの広告リンクを貼るの」
私「ふむふむ」
社「それで、アフィリエイトの収入で山とか買っちゃう!」
私「ちょっと何言ってるかわからないですね」

いや、100%無理だとはいいませんよ?
でも厳しいと思うんだけどなあ…山ですよ山。
でもうちの社長はアレだから…ちょっと妖精さんみたいなところあるから…

まあそんな社長の野望は置いておいて、ちょっと自己紹介をいたします。

本名:内緒
性別:女
年齡:アラサー
役職:アシスタントライター
趣味:読書、インターネット
好きなもの:歴史(日本史と中国史)、歴史小説、歴史ゲーム、チョコレート、猫。
好きな作家:村上春樹(歴史ものは書かないですが…)、宮部みゆき(時代もののみ)、
 永井路子、井上靖(これも時代もののみ)、太宰治、etc...

日本史で好きな時代は、飛鳥時代、奈良時代、平安時代、鎌倉時代、
 戦国時代、江戸時代。
 幕末は嫌いとかではないのですが、あまり詳しくはありません。

中国史で言いますと、三国志を始めとした古代はあまり詳しくなく、
 宋〜南宋あたりが大好きだったりします。
 中国史=三国志ってかた多いですけど。

このブログでは、本のレビュー、歴ゲーのプレイ日記など、他にも色々、
私の趣味丸出しで行こうと思っております。

今回は自己紹介だけで終わってしまいますが、
次回からはどんどんやっていこうと考えておりますので、
よろしくお願いいたします。

★次回予告★
次回は手堅く、本の感想から行きましょう!
司馬遼太郎「新選組血風録」、お届けいたします。

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